本妻の心得


 知人が不倫をしている。知人は男性だ。

 

 

妻以外に本気で好きになった人が出来たので別れたいのだそうだ。

 

まあ、お子さんもおられないので、そういうことなら夫婦関係解消も
仕方ないかもねってアタシは軽く答える。

 

ところがだ、その奥さんは頑として離婚に応じず、泥沼化の様相を呈している。

 
まあ50にも60にもなってからだと、女性側も思うところも一杯あって
なかなか、はい、そうですか!ってことにはなりにくいとは思うが
妻は30代なのだ。

 
そんな裏切り男はサッサと捨てて、また大いなる海原である恋愛市場に
単身乗り込めば、もっと楽しい暮らしが待ってるんじゃないか?と
アタシなどはまたまた軽く考えるが、

他人には窺い知れない複雑な心理が働くんだろうな〜。
 

そんなことを聞いた何日か後、女友だちと遊んでいたアタシ。
 

彼女のご実家は超金持ちなので、周囲の方も金に困っていないらしく
羽振りの良い話がわんさか出る。
 

「でさあ、りんこ、あの女の話、したじゃん?

そうそう、父親と何故か、父親の愛人を連れてハワイに旅行に行かせられた女!

やっぱ、猛烈に腹が立って、腹いせに軽井沢に別荘を買っちゃったんだって」

 

へ〜?別荘って、腹いせに買うものなんだ!?とびっくり顔のアタシである。

 

「それはいいんだけど、彼女のお母さん、絶対に別れないって、
ここ十何年、がんばっているらしいわ」
 

そんなに金があるんなら、財産分与して、悠々自適に暮らせばいいのにね、お母さん。

 
と、またまた門外漢のアタシが首を突っ込む。

 
「それがさ、りんこ、本妻ってさすがだなって唸ったよ。

別れないのは子どものためなんだね。

 
もし自分が判をついたとしたら、愛人に財産が半分行くじゃない?

本来ならば、子どもが丸々もらえるものを愛人と分けなければならない
って事態はどうしても許せないらしい。

 
死んでも判子は押さないっていう固い決意があるんだって。

意地なのかもしれないけど、母親ってすごいなぁって思ったよ・・・」

 
そうなのかぁ。

伴侶の愛情が自分にないと解っているのに夫婦で居続けるのもきついけど
そういう理由なのかぁ。

 
なんか太宰治の本妻が太宰の死後、愛人 太田静子からの生活費援助の要請を
一刀両断に断った話を思い出してしまった。

 
やっぱり平平凡凡が一番幸せなのかもしれないなぁ・・・。

 



 

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