青春が言わせる「通る道」

 高校生の息子を持つ母に相談された。

「息子が急に『芸人を目指すから学校を辞める!』と言い出した。

 


『冗談じゃない!一体、どんな思いをして、この学校にあなたを入れたと思ってるの?

芸人風情で食べて行けるとでも思ってるの?』って言ったら、家を飛び出してしまったんですが、どうしたらいいでしょう」って悩みだった。

 

幸い、息子さんはすぐに居場所が見つかり、ほどなく帰宅したそうだが、
アタシはあることを思い出した。

 

「あったな、こういうこと・・・」

 

うちの娘が確か、高1のときだったと思う。

いきなりの「なりたい夢が出来た」宣言だった。

それを叶えるために協力しろと言って来たのだ。

 
娘の夢は「声優」だった。
 

そして、既に自分でいろいろ調べていたらしく、声優学校のパンフレット
などが揃えてあったのだ。
 

娘にとっては母であるアタシの行動がすごく意外であったようだったが、
アタシは即座に快諾した。
 
そして「一緒に学校見学に行こう!」と誘ったのだ。
しかし、何故か、抵抗されて、娘だけがその学校を見に行くことになった。

 
それで仕方ないので、アタシは電話でその学校の先生といろいろ話をしていたのだ。
 

断っておくが、当時のアタシにすごい思慮が働いたわけではない。

単純に「おもろいやないけ〜!?」と思ったことと、隙あらば、アタシも

声優とやらになってみたい!という興味本位がそうさせただけだ。

 

まあ、なんやかやあって「体験授業をしてから考えてみてください」
ってなことに話はまとまり、娘は何日かの体験授業に出ることになった。
 

アタシは金の工面やらに頭を悩ませていたが、体験授業に出た娘はあっさりと

夢を捨ててきやがった。

 
「はいーーー!!!???声優さんになる言ったやろうが!?」とアタシ。

 
娘の言い分はこうだった。

 
「授業は楽しかった。

でも、こう思ってしまった。

自分はすごくやりたい!って思っていたはずなのに周りの生徒さんの気持ちの方が

自分の遥か上を行っていて、自分はすごく中途半端な気持ちでいたことがわかった。

 

もう最初から志が違うって思った。

自分は今の高校を辞める気持ちもないってこともわかった。

これじゃない!って思えたんだ」

 
ってな感じだった。
 

やっぱな。そうだよな。
 

声優学校の先生が「そんな甘い世界ではないし、余程の意志と

がんばりと運と才能がなければダメってことで、それに気付いてもらうための

体験入学です」って親にはっきり言ってたもんな。

 
それ以降、娘は「声優のセの字」も言わなくなった。
 

アタシはこう思う。
 

芸人、声優、アイドル、ミュージシャン、アーティスト・・・

これらになりたい!っていうのは一度は通る道だ。

それが青春だとも言える。
 

本当になりたいのか、またはなれるのかっていうジャッジをくだすのは

親じゃない。その当人だと思う。
 

なりたい!って思って、手を上げられることの方が何にもなりたくないと

思うことよりも遥かに大事なことで

 
その夢をずっと追えるのか、それとも、これではないと方向転換するのかは

一度かじってみる、或いは臭いを嗅いでみることでしか始末できない。
 

「親に止められたから」という不完全燃焼は人生でずっと尾を引くように

思っている。
 

「やりたいことかも?」の連続で人は年を重ねていくが「やる」のか「やらない」

のかのジャッジはその人本人が決めるべきことなのだ。

 
最近、息子の友人がプロの声優としてデビューして、10年来の夢を

叶えたので拍手喝采だったが、

 
私たちの子どもは本当にやりたいことを見つけたならば、それを目指して

あらゆる努力を惜しまない。

 
冒頭の相談母にはこう返した。

 
「誰しもが通る道。本気かどうかは高校中退を含めて、ドンドン話を

進めて行った方が早くにわかる。

親子バトルで無駄なエネルギーを使うよりは余程、効率が良いと

思うがどうだろう?」

 
青春が言わせる現実逃避は甘い汁に映るだろうが

ちょっとだけも匂いを嗅げば、どんだけ厳しい道なのかは

すぐにわかる。

 
匂いを嗅がせることもしないで、闇雲に反対するだけでは

何の解決にも成長にもならないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

コメント

  1. りんこさんこんにちは、れいなです。
    来週の講演楽しみにしながら指折り数えて待っている毎日です^^

    ところで私も高校一年の時に、「ミュージシャンになる!」と決めて、「高校やめて音楽の学校行く」と母に言ったことがあります。
    高校をやめる、というのは、その頃友達と上手くいってなかったという理由の方が大きかったので、その選択はしませんでしたが、三年かけて資料を集めて学校を探して奨学金も探し、最終的に新聞奨学金制度で進学することにして、新聞屋さんと電話で連絡を取っていたところで、それでは生活に追われて学ぶどころではないだろうから、といって母が学費を出してくれました。

    大学に入るために自分なりにはかなりがんばって勉強して入った高校で、大学以外の進路を選んだのは学年でも10人いるかいないか、というくらいでしたし、実際私はプロのミュージシャンになることもなく、あのとき母が払ってくれた学費は無駄になったように見えるかも知れないのですが、
    でも自分で自分の道を決められたことと、母が大学のための学費を私の夢に出してくれたことは、多分一生の財産になったなあ、なんて思うのです。
    今この歳になって、母にいちばん感謝しているのはその時のことです。



    ……が!
    それとおなじことを、今わたしが自分の息子にできるかというと、即答できないのが難しいところです……(*^^*ゞ

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  2. れいなちゃん、こんにちは。
    おお、素晴らしいお母様と青春時代の勲章をお持ちで!
    素敵な話を聞かせてくださりありがとうございます(*^▽^*)

    親はいつでも応援することしかできませんが
    出来るならば、その子の希望に合った応援をしてあげられるといいですよね。

    親が自分の希望を優先するならば、その子はそのときは
    親の言うとおりの道を選んだとしても、50歳近辺でまた迷い出すと思います。

    れいなちゃん、息子さんが自分の足で歩きたいという気持ちを持った
    瞬間に潰すことがないようにしていてくださいね。

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  3. また面白いものを見つけてしまいました。
    実はウチの娘も声優を目指してたことがありました。
    堀川りょうさんが学院長をなさってるとこ(岡山校)に半年通いました。
    ま、それで終わりですが(笑)
    最初は「どうせ声優になれないって思ってるんでしょ」って娘に言われましたが「いやいや、うまくいけば儲かるじゃん」とか、応援してる振りしましたよ。
    自分で納得しないと後を引くと思ってたからです。
    案の定です。でもその授業料は惜しくありません。
    娘と私の絆のためですから。
    私は娘を信じなかったことはないです。
    嘘は言わない、そう信じてましたし、それを娘に知らしめてました。
    高校(定時制)の時に娘をいじめてた同級生に電話で怒鳴り散らしてやりました。
    相手の子は私に会うとガクブルでしたよ。(笑)

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  4. ちょっと違うかな。「応援してる振り」ではなく、ちゃんと応援してました。声優を目指すにあたって、当時mixiで以前声優をしてた方とマイミクになったりしましたし。今、その方は声優スクールの講師になってます。

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