異文化体験その3 バリには年齢がない


 異国でのカルチャーショックはとても良いものだ。

自分が信じ込んでいて、当たり前だと思っていることが実は外に一歩出れば

「当たり前ではない」という事実に触れることが視野を広くすると思えるからだ。
 
 



ガイドの由果さんに「バリ人に年齢を尋ねる人はいない」と言われたときも

びっくりした。

 

日本のように結婚相手の年齢を気にすることも皆無だと言うのだ。

 

つまり、アタシが独身だとして、結婚市場に乗り込んでもお相手さえ気に入って

くれるのであれば、年齢など誰からも聞かれることもなく、それで反対されることもなく

お互いの年齢も知らず、めでたくゴールインになるので、50代の新婦と20代の

新郎という組み合わせも全然、有りなんだそうな。

 

事実、由果さんは結婚するまで旦那さまの年齢を知らなかったそうだ。

旦那さまも別に嘘をつくとか、騙すとか隠すとか、そういうことではなく

純粋に伝える必要性を全く感じていないということで、逆に由果さんの年齢を

尋ねられたこともないとのことだった。

 

年齢というものが西洋のグレゴリオ暦から来ている価値観のひとつに過ぎないと

いうのは新鮮なショックである。

 

バリには暦の数え方がいくつかあるようだが、代表的なものにウク暦というものが

あるらしい。

これは210日を1年と考えるそうで、365日を基準とする西暦とは

ドンドンずれていくということを指す。

 

ウク暦はとても大切なものらしく、赤ちゃんが誕生するとウク暦上の行事を

祝うために、両親は計算して、その日を導き出すそうだ。

 

これはバリ人であれば誰でも自分のウク暦上の誕生日を知っているそうで

西暦の誕生日よりも断然、優先されるものらしい。

 

由果さんが言うには「その辺のお婆さんに『何歳ですか?』って尋ねたら

真顔で『100歳です』って答えますよ〜。

どう見たって100ではないでしょ?って思いますけど、バリ人に

(西洋暦の)年齢はないので、みんな、適当に年寄りだから100歳くらいってことに

しちゃうんでしょうね」

 

このバリ暦上の誕生日をオトナンと呼ぶのだそうだが、西暦による生年月日は

あまり重要視されず、生まれた曜日、ウク暦上、どの日に誕生したかが

優先され、210日ごとに来るオトナンを祝う儀式をゆかりの寺で行うんだ

そうな。

 

(占いなども誕生日占いとはオトナンのことを指すそうな)

 

こういう背景があるので、自分の誕生日も年齢も意識の外にあるので

ましてや人の年齢など、全く興味がないってことになるんだと理解。

 

日本は年齢を異常なほどに意識しながら「○○らしく」と縛る傾向がある。

 

「結婚適齢期なんだから」

「もう60歳、自動的に定年です」

「新卒というのは22歳ないしは23歳を指し、それを逃すと就職は・・・」

「あら、6歳なの?来年は小学校だから、お兄ちゃんね」

 

この全員が全員、一律に、しかも一斉に何かをしなければならないという

環境が生きにくさの遠因になっていないだろうか。

 

由果さんが言う。

「こっちの小学校はいつ入学するのも親の裁量に委ねられていて

7歳で入ろうが9歳で入ろうが全く自由なんです。

 

うちもインドネシア語にいまひとつ不安があって、日本で言う1年遅れで

入ったんですよ。

小学校でも留年は普通にあって、親が『この子は進級するには不安だから

3年生をもう一回やらせてください』みたいなお願いをすることも可能です。

認められる場合もありますし、逆に『もう1年、同じ学年でやりましょう』って

いう提案を受けることもあります。

極めてフレキシブルで、それで揶揄する人は皆無ですね。

何歳に何をするっていう意識がないので、何歳で何をやろうが、またやらなかろうが

誰も何も気にしません」

 

由果さんに再び聞いてみる。

 

「あのさ、年金とかはどうなってるの?老人になったらどうするの?」

 

由果さんが思わず笑い出す。

 

「そんなの、あるわけないじゃないですか?

老人になったら、親族みんなでめんどうをみる。

(動けなくなったら、すぐに死ぬそうで、最期まで何がしか働いているのが普通らしい)

困った親族がいたら、みんなで助ける。

誰か親戚の人が病気になって、医者に診せたいってなったら

みんなでお金を出し合う、そういう土地です」

 

「お金を持っている人が誰もいなかったら?」

 

「誰かしらは持っているんですよ。全員、持っているヤツが出すのが当たり前と

思っているので、たかられる方も全く、何とも思っていないです。

なので、いつも奢られている立場も人も『悪い』なんて微塵も思いません。

やれる人がやる、出せる人が出す。これが普通なんです。

 

なので気軽に『お金、貸して!』って言って来ますね。

もちろん、返す気なんてサラサラないですよ(笑)貸してはイコールちょうだいと

同じです。

 

その時は『お金ないから無理!』って言えば、それで終わりです。

『了解!』って感じで去って行きますね」

 

すべての犬は鎖に繋がれることもなく放し飼い。

 

大事な家族の行事には豚をその場で解体し(その豚が気配を察して、悲しそうに鳴くのは

さすがに辛いけど、料理になったら美味しく食べちゃうとは由果さん=しかも

即死にはさせずにじっくりと死なせる感じに見えるらしく、余計に辛くなる理由らしいが

、その解体方法が血の一滴まで無駄にしないというやり方なんだそうだ)

 

ニワトリは家でさばくので生きたまま買って来て、その足を持って、バイクを

走らせているし、

 

生活に必要なので、小学生でも高学年になれば普通にバイクに乗っているし

 

バリは今でも、日本の50年前が息づいている。

 

「日本は何もかもが便利になりすぎて、もう住めない」という由果さん。

 

少しくらい不便な方が生きている実感があるらしい。

 

日本は何を得て、何を失っているんだろう。

 

 

 

 

 

コメント

  1. 私は今、自由人息子が息をしやすい環境を求めて、中学受験の真っ最中なんですが、金と大変な労力をかけないと環境を得られない、変だ変だと思いながらやってます。他に方法がないから。
    年齢的にこれができない、おかしい、話が下手すぎる、もう三歳なのに。就学ねんれいなのに。言葉が遅い息子、何度言われたかわかりません。行動面も。9歳の就学ならなんの問題もなかった。年齢縛り、苦しいです。

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    1. そうだよね〜。
      年齢縛りが多過ぎるのよ。
      就学年齢の改善とか、就活年齢のとっぱらいとかをしたら
      ずいぶん生きやすい国になると思うんだけどね〜。

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  2. バリ島。
    今から4半世紀前に、新婚旅行で行きました(^ω^)
    お金がなかったので、有名リゾートには宿泊出来ず…
    街でもビーチでも、物乞いの人が多いのが印象的でした。
    あの頃とは、大分変わったんでしょうね。
    また行ってみたいです(^-^)/

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    1. ハネムーンで!?素敵!!
      もう一回、同じ道を辿ればいいじゃん?
      割と安く行けるよ。
      25年前を知らないので、何とも言えないけど、
      とっても美味しく、とってものんびりでき、とってもよかったです。
      是非、もう一度!

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