異文化体験 その2 バリには墓がない


 異国の風景は見るもの、聞くもの、すべてが珍しく面白い。

由果さんに連れられてのドライブ中、田舎道の道路で神輿を見た。

周りにいる人もなんだか正装ぽくって華やいだ雰囲気だ。
 
 
 


 

早速、由果さんに質問する。(注:由果さん=バリ在住13年目の美人ガイドさんです)

「ねーねー?お祭り?今日はここの村のお祭りかな?」

 

由果さんはこう言った。

「あ、あれはお葬式です」

 

あ〜?葬式〜〜???

マジでか!?でも、どう見たって、まあ一瞬だったけど、葬式には見えなかったよ〜!

 

由果さんはこんな風に説明してくれた。

「女性は青っぽいものを着てましたでしょ?あの色味が喪服なんですね。

結婚式は赤っぽいものを身に付けるんですよ。

それと神輿に見えたというのが棺ですね。あれにご遺体が入ってます」

 

はい?はい?はい?

 

「人が亡くなると火葬にする地域と土葬にする地域があるんですが、うちの

おじいちゃんの地域はまだ土葬で、一旦、埋めるんですよ。

それで、まあお葬式を出す工面(金策)が出来たころに掘り起こして、それを火葬して

そして散骨、つまり海に遺灰を流すっていう順序になります。

 

そうです。バリにはお墓がないんです」

 

えー?お祭りのようなお葬式って王族だけかと思ってたけど、庶民もそうなんだ。

(あまりに盛大らしいので、このカースト上位の方のお葬式を見るツアーが

実際あって、結構、人気なんだそうだ)

 

「バリ人はバリ・ヒンドゥーを信仰している人たちが殆どですが『輪廻転生』を

信じているんですね。要するに『死』は終わりではなく、新しい旅立ちっていう考え方が

あって、このお葬式が人生、最大のセレモニーになりますね。

 

遺族は悲しいのは悲しいんでしょうが、どちらかと言えば亡くなった方への

次のステップへの「お祝い」という意味合いが強い感じがしますね。

 

とにかくバリ人は『祈り』が一日の大半になるので、神様のことを四六時中

考えているようなところがあります。

 

ご覧になったと思いますがいろんなところに神様へのお供え物がありますよね。

 

(家に面した道路には竹皮で作ったようなお皿に綺麗に花々が並べられており

どの家もそうしているので、踏みそうになるほどだ。各所に灯篭のようなものが

あって(日本で言うお地蔵さま感覚?スカートのような布地を巻かれていることが

多いようだ)そこにもお供えの花があって、甘茶をかけるような感じで

何かの液体をかけながら、祈っている人を男女問わずたくさん見かけた)

 

あれは家中に毎日、飾るので、20か所くらいになると思いますが

それは欠かさないので、結構、大変なんですよ。

 

まあ、神様はいつも傍にいるっていう感覚なのかな?って気がします。

 

墓がないのも、輪廻転生なので、作ったとしても、そこに魂がないってことに

なるので意味がなかったんでしょうね。

海に散骨でおしまいです」

 

へー?すっごくいいじゃん!すごくいい!!

アタシなんて「墓問題」(江戸時代の熊吉さんから続く豊富にある墓石の数々=通称 墓S
 
=特に格式がある家柄ではなく、ド田舎、長男継承の結果こうなっているだけ)に
 
めっちゃ悩まされている。

 

アタシはともかく、将来的にはひとりしかいないうちの息子にすべてが

丸投げされていくわけで、ド田舎にある墓Sのお守りを風習などが全くわからない

息子に押し付けて死ぬにはこころもとないのだ。

 

それで、こないだ、思い切ってお姑に「墓じまい」を振ってみたら、本院(宗派の総本山)に返納の手続きがいるとか言っていたので、ちょっと調べてみたら200万とか300万

とか書いてあって、もう無理!絶対、無縁仏決定だな、呪われる!

と恐怖に震えているのだ。

 

これに檀家の経費は入れていないので、これを考えると、墓というものそのものが

子孫を苦しめる結果になっていると言わざるを得ない。

 

アタシは仏教の何回忌という考え方も(こないだ61回忌というものにお姑から

強制参加させられたアタシは閉口している)大嫌いだ。

 

(注:アタシは神道の家に生まれているので、仏教習慣がないということも関係する。

神道は仏教ほど頻繁に法事は行わない)

 

そんなに弔わないと(行くだけで多額の金がかかる!)成仏ってできないんですか!?

そこまでしてご先祖様は子孫に手厚くされたいんですか?

という疑問が拭えず、お姑との軋轢は増える一方だ。

 

生まれ変わるかどうかの確信はないが「死んだら海に還る」

それで、もう十分だろうって思う。

 

(日本は散骨するにしたって、規制も一杯あるし、値段が高いんだよ)

 

由果さんに聞いてみる。

 

「ねえ、どうやって、いつ頃、死にたい?」

 

若い綺麗なお姉さんになんつー質問だ!であるが、興味があったのだ。

由果さんは嫌な顔もせず、こう答えてくれた。

 

「絶対に長生きはしたくないですね。日本は異常だと思う。

バリでは今はお金持ちはシンガポールとかに出て、良いお医者さんにかかって

必死で治療しようとする人たちもいるにはいるんです。

 

でも、多くの人たちはそんなお金はないですし、ある程度、年を重ねたら

病気を何が何でも治そうという考え方自体がないんですよ。

 

医者に診せることもなく、寿命ということでそのまま死ぬことが普通で

死は身近であって、怖いものではなく、さっきも言いましたけど、次の人生への

スタートになるんですよね。

 

ここは一族単位での敷地内同居が普通なので、孤独死ってこともないんですね。

誰もいなくても、村の共同体のような風習は色濃くあるので、最期、誰かは
 
看てくれるっことになりますが、寝たきりということはないですね。
 
動けなくなったら死ぬっていう感じですかね。
 

私も死んだら、そのまま散骨されて海に還りたいですね」
 

由果さんはサーファーなんだから、余計にそうだよね〜と思ったが

若い人から「長生きを望まない」という言葉が出たのは驚きだった。

 

祈りに生きて、あらゆるものに宿る神を崇め、そして自然に命を終える。

 

「あらがわない」という生き方が世界中から人々をバリに引き寄せる理由なのかも

しれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント

  1. いいな!すごくいい!私も海に帰りたいし、
    自分のことも自分で最後までしたい。
    動けなくなったら死ぬでいいです。
    日本は生まれるのも、死ぬのも大変すぎる!
    子育ても大変すぎる!

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    1. 匿名さま
      日本がものすごく生きにくく、ある意味、破滅に向かって
      突っ走っているという理由がわかるような気がするんですよね。
      破滅なら破滅で全然いいんですが、とにかく何をするのも
      大変すぎる!
      おっしゃるとおりだと思います。
      変えていかないといけないですよね!

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  2. 墓問題。
    悩ましいです。
    3人姉妹ですが、全員長男に嫁にいきました。

    4年前に父、去年5月に母が亡くなり実家も売却が決まりました。
    しかし‥
    実家の墓は、長女である私の名義になりました。
    (名義変更しないと納骨できないそうです。)

    母は紛れもない毒母だったし、私のやることなすことが気に入らなかった人。
    でも、お墓の中から文句を言われる恐れはないので
    お墓参りは、割と気軽に行けるんですよ。

    ただ、一人息子に実家のお墓の面倒まで負わせる訳にはいきません。
    墓地を返納して改葬するには、かなりの費用が…
    もーどうしたらいいんでしょうか!?

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    1. うーむ。悩ましい、うちも同じ問題ですから。
      墓なんてなくて良くね?って思いますけどね。
      維持費もかかるし、そうは言っても墓じまいは大金だしで
      そうこう言ってる内に、死んでしまいそうです。
      ごめんよ、息子!

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  3. こんにちは。こちらには初めて書き込みます。宜しくお願いします。

    早速ですが61回忌ってすごいですね。
    私の父は次男ですが、実家が本家なので曽祖母の33回忌が最高記録です。
    もちろん会ったことはなく、怖そうな遺影でしか知りません。

    娘がミッションスクールに進むことになり、そんなに高レベルの学校でもないのに妙に姑が喜んでいるなと思ったら、実はクリスチャンだったというオチがありました。
    元々仏教のとある宗派だと夫は言ってましたが、姑だけ洗礼を受けたそうです。
    当然?舅のお墓は教会で持っているところ。
    突然娘に対して「教会にはたくさんお友達がいるわよ〜」みたいな手紙を送りつけてきて気持ち悪いし、墓守要員にされそうでとても嫌です。

    私の毒祖母は神道で、部屋に神棚がありました。(亡き祖父の遺影あり)
    「普段何もしないのに、たまに神棚に手をあわせるだけでいいのか?」
    という私の問いに対して
    「日本の神様は優しいから、神棚がある、鳥居があるって気がついた時にお祈りすればそれでいいのよ」
    と教えてくれたことだけは感謝しようと思います。

    私自身はお墓なんていらないんだけど、きちんと決めておかないと娘が困りますよね。

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    1. お寺が儲かるだけの61回忌です(笑)
      ど田舎なので、お寺様のご意向にそむけないの。
      もうひと財産、失うから、あたしはおにおこですよ!

      すわろうちゃんのとこも大変じゃん!
      クリスチャンはひとりひとつって聞いたけど、そうなの?
      仏教の墓とキリスト教の墓を持つのは大変だね~。
      もう、本当にこの問題はいい加減にしていただきたいですぅ(涙)

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